2010年7月8日木曜日

二十年後の我が家を覗いてみよう ~洗濯機編~

もはやシリーズ化している著書『二十年後 くらしの未来図』(平尾俊郎著 新潮新書)のレビューは今日で第3回です。

今日は洗濯機のミライを覗いてみましょう。

<未来図③ 洗濯機>

[洗濯機もエコ志向]

2001年、洗濯機開発は一つのターニングポイントを迎えました。それは、「洗剤を使わない洗濯機」です。
 三洋電機広報チームの方曰く、洗濯という行為で使うのは主に3つ。1つは洗濯機本体、1つは水、そしてもう1つは洗剤です。それに関してこの方は興味深いことをおっしゃっています。
 
 「洗濯機を使わない方法は家電メーカーの考える事じゃない(笑)。水を使わないのはドライクリーニングで、家庭用にコンパクトにできたとしてもとんでもない価格になる。しかし、洗剤を使わないということなら、これまでの当社の技術で不可能とはいえなかった。」

 注目したいのはドライクリーニングの件です。この発言は恐らく2001年頃にされたものだと思うのですが、今家庭用のドライクリーニングは売られていますよね!しかも、この方の言うような「とんでもない価格」とも言えないお手ごろ価格で!!この話は後述しましょう。

 さて、洗剤を使わないで洗える洗濯機の仕組みはどんなものなのでしょう?その秘密は「電気分解」にありました。水道水を電気分解して作った電解水は、着たから洗うという程度の軽い汚れなら、洗剤なしで洗って除菌・脱臭までこなせる、とのこと。

 この洗濯機は「エコ志向」の考えから生まれたものだったのですが、アトピーに悩む人や、皮膚が敏感な赤ちゃんにとっても好評だったようです。(このような人たちは洗剤がダメなため。)

[洗剤無し洗濯機から考える、洗濯機の未来像]
 洗濯無し洗濯機がアトピーの方や赤ちゃんに好評だった、というところから筆者はミライの方向性を見出し、綴っています。

 このように、現在起きている傾向を「ミライの兆し」(ミライのタネ)ととらえて未来像を考えるのは、社会受容性のある未来像の作り方の1つ大きなお手本といえます。なぜなら、「何で?って聞かれたときに、単にそう思うから、ではなく、今こういう傾向が見受けられるから、という言い方が出来ると、一般の人は未来に起きそうかどうかの判断材料と出来るから」ではないでしょうか。

 この本ではこのような未来像の考え方がたびたび見受けられ、我々ミライ班としても参考になります。

 さて、本題の内容に戻って・・・ では筆者はミライの洗濯機をどう考えたか、というと?

 医療用洗濯機なるジャンルが確立されるかもしれない、ということのようです。つまり、特定の病気や生活習慣病に苦しむ人々のために開発された、予防・治療効果を持つ洗濯機です。対アトピーに電解水を使った無洗剤洗濯機が登場したように、花粉症の人には衣類に高い防塵効果を付加できる洗濯機が、風邪を引きやすい人にはバイオの力で繊維の保温性を高められる洗濯機、というような調子です。このような洗濯機が、医療機器メーカーとの共同開発で出現したら面白いのではないか、ということです。

[ドライクリーニングの時代は来た!]


 そう。この著書で「遠いミライ」のように書かれていましたが、実はもう2010年現在、実現されていますね。

 洗濯機メーカーはいよいよ「洗剤を使わない」から「水を使わない」に着手した、というわけです!一時期話題になりましたよね?そして、「エアウォッシュ」という言葉もよく耳にしたのではないでしょうか。

 これだと、ジーパンやぬいぐるみや革靴なども洗濯できる、ということで、洗濯機のミライの形といってもいいかもしれません!



~~おまけ~~
[人間洗濯機?!]



 1970年の大阪万博で登場したのが「人間洗濯機」。なんと、衣類を洗う要領で人も洗ってしまおう、という事で、洗濯機史上に一石を投じる洗濯機がはや1970年に登場していたのか?!
 …と思いきや、詳細を見てみると、今でいうところのただの気泡風呂のようなもの。確かに人間を洗濯する、ってことはつまりお風呂でしょ?ってな話ですね。若干拍子抜けしたものの、でもよく考えてみると、家庭用ジャグジー風呂が70年にすでに出来ていたとは…万博恐るべし!



(ご覧の大盛況っぷり。何かお風呂・・・もとい、洗濯機に入るの恥ずかしいですね(笑))



  そういえば、ミライ班メンバーの倉田が先週、万博を見に上海へ行ってきましたが、入場だけで3時間待ち、その中の見世物は7時間待ちだったそうで、結局行けなかったそうな。。これまた万博恐るべし!!

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